それ、うまいのか?

... 記憶の残滓

何故、日本では干し肉技術が発達しなかったのか?

570 : ななしの珍味 : 2011/10/03(月) 04:23:05.31 ID:TfzFiqlk [1/5回発言]

どっちが優れてるとか優れてないとかの問題じゃない。
調理方法っていうのは、その材料を食べる土地の「気候風土」に左右されて発達するもんだ。

例えば中国が「油通し」を始めとする各種の加熱技法が発達したのは、
中国の料理法が「日本に比べて」発達しているとかではなくて、
「日本では不要だから発達しなかったが、中国では必要だから発達した」ものだ。

例えば油通しは水が悪い(黄砂が混じって濁っている)中国で、
素材を泥臭くしないようにするために、油膜を作るために発達したが、
日本の河川や飲料水は、水に細かい黄砂が混じって濁っていることを考慮しなくていいから、
油通しの「必要が無いから発達しなかった」のだ。

同じように干し肉が発達したのは、別種の「必要と必然」があるため。
そもそも、大陸性気候ってのは乾燥していてモノが乾きやすい。
ヨーロッパ亜大陸の干し肉が発達したのも、中国の干し物が発達したのも、
「湿度が低くて乾燥しやすい」という不変の気候風土があるから、
「そうならざるを得なかった」または「そうなるのが都合がよかった」から発達した。

日本の場合は「高温、多湿」でモノが腐りやすい。
だから、乾燥させる調理や保存法よりも、腐敗とは別種の発酵を促す保存法が発達した。
また、発酵とは別の、「腐敗させない保存」を考える場合は、
湿度以外で食べ物から水分を追い出す必要があった。
だから、「加塩脱水」(塩して干す)が発達した。
腐敗は水分がなければ起きないから低湿度なら単純に「干す」で水分を追い出せるけど、
高湿度の日本ではそれでは腐敗速度のほうが早いから「加塩脱水」と「発酵」が発達した。

中国が冷たい食い物を食う文化がないのは、これも気候風土の問題。
清浄な水で洗うことが難しいから、加熱殺菌をする必要があった。
加熱されてるもの=安全なもの、冷たいもの=安全じゃないかもしれないもの、
だから冷たいたべものは「不安な食べ物」で、それを出すのは失礼、という文化が発達した。

文化っていうのは「気候風土への順応」によって発達するもので、
国や、同じ国のなかですら地域によって違ってきて当たり前のものなんだよ。
「食わないと死ぬ」「その土地にあるものを、その土地でもっとも好都合な方法で食う」
そうやって発達するのが調理法。

繰り返すけど、どっちがいいとか、悪いとか、
どっちのほうが発達してるとかしてないとかっていう話じゃないよ。

なんだと。